ココロのコンパス

仕事のことや心のことを中心に書いていきます。

能力を最大限引き出す!?フローについてポイントをまとめました

スポンサーリンク

お久しぶりです。yukiです。

スポーツや芸術活動で「我を忘れ、時間を忘れて集中する」といった経験は、多かれ少なかれ誰にでもあると思います。こういった状態の時には、格上の相手を倒したり良いアイデアがぽんぽん浮かんでくるなどいつもより素晴らしい成果が出ますね。この状態のことをフロー(ゾーン)と呼びます。

今回はフローのポイントをまとめましたので興味がある方は読んでただけると嬉しいです。

 

参考にした本や論文

まず最初に今回メインに参考にした本とその意図からです。

Steven Kotler 著の「超人の秘密 エクストリームスポーツとフロー体験」

この本はエクストリームスポーツという、命綱をつけないロッククライミングや流れが激しい場所での急流下りのカヌーなど一歩間違えば死ぬような極限のスポーツと、フロー体験との関連について書いてあります。死ぬかもしれないというリスクからフロー状態でないと達成が難しいので、エクストリームスポーツをやる人をインタビューしてフローについての洞察を深めてくれています。

またフロー研究の第一人者であるCsikszentmihalyi(チクゼントミハイ)氏の論文も参考にさせていただきました。

CsikszentmihalyiMihaly.

・「Flow: The Psychology of Optimal Experience(1990)」

・「Creativity: Flow and the psychology of discovery and invention(1996)」

 

フローの理解 - What is Flow? -

ここではそもそもフローとは?やフローに入る条件を紹介します。

フローの定義

A state of concentration so focused that it amounts to absolute absorption in an activity

 (Csikszentmihalyi M. , 1996)

 つまり、フローはその活動から吸収もしているしそれ自体にとても集中している状態ということになります。単なる集中ではないことがポイントで、集中という、自分→活動への矢印と、吸収(absorption)という、活動→自分への矢印があります。サッカー選手が「調子がいいときは仲間が何をしているか、求めているかわかる」という趣旨の発言をするのをきいたことがありますが、これは自分がその状況に集中しているのと同時に、その場の状況(仲間の動き)などが普段よりハイレベルに自分にインプット(吸収)されているということでしょう。

f:id:counselorblog:20160714205125j:plain

フローの条件

フローの条件を9つにまとめました。これは条件であり、フローに入ったときの特徴も同時に示すものです。(*フローに入るのにすべてを満たす必要はありませんし、フローに入ったときにすべての特徴が生じるとも限りません)

  1. 明確な目的
    フローに入るには明確な目的が必要です。また少しでも「できるかも」と思えることも大事です。

  2. 直接的かつ即時のフィードバック
    成功と失敗がすぐにわかり調整可能であることが必要です。1プレイ毎にうまくいったかそうでないかがすぐにわかるスポーツはこの条件を満たしやすいと言えますね。

  3. 能力と挑戦のレベルバランス
    達成することが自分の能力より少し上のレベルであること。少し上っていうのが大事です。

  4. 状況を自分でコントロールしている感覚

  5. 集中・没頭

  6. 自己意識の消失
    フローのときに「カラダが勝手に動くようだ」という人がいます。「勝ちたい」とか「こうしなきゃ」といった思考から解放され頭がクリアになっている状態です。心理学的には”無意識”の力を最大限引き出している状態です。今までの練習や鍛錬は”無意識”に蓄積されており、無意識的にその場にあったスキルや動作、アイデアを使えているわけですね。

  7. 時間感覚の変化
    時間が止まる、時間が凝縮される、そんな風に感じることがあります。

  8. 内発的な報酬
    その活動・瞬間が楽しい、嬉しい、充実していると感じられることです。

  9. 身体的ニーズへの認識の欠如
    6番と似ています。昔サッカーのゴン中山選手は、骨折しながらプレーをしていて試合が終わるまで気づかなかったことがあるそうです。まさにフロー。

 

後半(5~9)はフローに入る条件というよりフローの状態の特徴に近いです。僕も卓球をやっていてフローに入り強敵を倒すことがあったのですが、自分がフローに入る条件に怒りがありました。なにかで相手にイラっとした時に怒りに支配されるでなく、冷静になれて逆に試合に集中できたことを思い出します。

 

ここまでで、フローってどんな状態かイメージできたでしょうか。次にフローに入るキッカケ、フロートリガーについて紹介します。

 

フローの実践 -  Flow Trigger -

フロートリガーとは「今この瞬間・この場所」に集中している状態を作り出すトリガーであり、上述したようにフローに入るキッカケといったところです。フロートリガーは3つの種類(内部要因、外部要因、創造性)があるので順に解説していきます。(*すべてを満たさないとフローに入れないわけではありません)

 

内部要因のフロートリガー

  1. 明確な目標
    「明確」は「自己意識」の介入の余地がなく「現在」に注意が向くレベルです。
    Good ex) 目の前のポイントを取る
    Bad ex) 優勝して表彰台にのる → 意識が未来に向いている。

    具体的な方法としては作業を簡単にできる単位に切り分け、それにあわせた目標を設定することがあげられます(特に勉強や仕事など)。
  1. 直接的なフィードバック
    これは上の条件2の「直接的かつ即時のフィードバック」から来ています。
    スポーツのように即時のフィードバックが難しい場合は意識して高速でPDCAを回すようにしましょう。

  2. 挑戦とスキルの比率
    注意が「現在」に向くのは作業の難易度とスキルがある特定のバランスにあるときです。自分の能力の少し上でしたね。あまりに難易度が高くても無理ですし、簡単すぎても単なる作業になってしまいがちです。現状を常に把握し、自分のレベルの少し上の目標を立てる力が大事です。

 

外部要因のフロートリガー

  1. リスクのある環境
    リスクは肉体的リスク・精神的リスク(社会的・感情的リスク)のどちらでもOKです。(ゆえにエクストリームスポーツはフローに入りやすいのでしたね。)またリスクがあるということがフローは危険と隣合わせでもあると言えます。

  2. 多様性ある環境
    新規性・予測不可能性・複雑性が同時に存在する環境、つまりスポーツや自然を相手にするアクティビティなんかが適しています。

  1. 深い身体化
    感覚入力すべての動作に注意を支払っている状態。最近はやりのマインドフルネスです。やり方はいろいろありますが僕が書いた記事はこちらです。

    www.kokoro-no-compass7.com

 

創造性によるフロートリガー

創造性とはものをつなぐことにすぎない」
( Steve Jobs)

 

創造とは、既存の情報から何か新しいパターンを認識することです。この瞬間脳内ではドーパミンが分泌され、やる気や集中力を高め、フローへと入りやすくなります。

 

f:id:counselorblog:20161128222559j:plain

おわりに

 フローに関する基礎的な情報を端的にまとめてきましたが、「フローとはどのような状況か」を説明する部分が多い一方で、どのようにすればフローに至れるかという決定的な記述は見つかりませんでした。

これは、フローがいつでも必ず至れる精神状態ではないからであり、フローはいつ入ることができるかわかるものではないことからです。しかし、自分の能力を最大限引き出すためにフローの有用性は否定できないのも事実です。

スポーツをしているとき、また仕事においてもどうしたら集中し最高の結果が出せるのか今後も考えていきたいと思います。

 

以上!